五色の虹輝く

だって好きなんだもの。

なにきんよ永遠に

先日、『炎の体育会TV』に関西ジャニーズJr.陸上部として西畑大吾が出演した。関東に勝つため精一杯走るその姿はみんなとてもかっこよかったし、見ている人の心に残る戦いだったのではないかと思う。その中で私が個人的に印象に残っているのは、関西オリジナルの掛け声「やれんのか?俺ら次第や!」を言うときに関西の中心に立って「やれんのか?」と鼓舞する大吾の姿だった。二年前まで、その場所にいたのは現在のジャニーズWESTのメンバー。関西に片足を突っ込んでいた私が見ていたのは照史くんやお淳太が「やれんのか?」という光景で、大吾のそれではなかった。正直言うと、大吾が関西の中心に立っているところを初めて見た。なんだか、うまく言えないけど、ズシンときた。その時に感じたことをずっとどこかに書き残しておきたいと思っていたもののなかなか自分の気持ちがまとめられずにいたが、年の瀬が近づいてきたので、頑張って書き起こしてみようと思う。

そもそも私が関西にハマるきっかけになったのはドラマ『信長のシェフ』で森蘭丸を演じていた永瀬廉を見たからである。彼は当時西畑大吾、大西流星と「なにわ皇子」というユニットを組んでいた。なにわ皇子は同じく関西ジャニーズJr.のメンバーであった向井康二、金内柊真、平野紫耀のユニット「KinKan」とともに「なにきん」と呼ばれ、『まいど!ジャーニぃ~』というレギュラー番組まで持っていた。関西はジャニーズWESTのメンバーが上に立って引っ張っていて、なにきんはそのすぐ後ろにいる印象で、私は何となく「なにきんでデビューしてくれたらいいな」なんて思っていた。永瀬の印象は真面目でどこか抜けている。まだ不完全であか抜けていないところがとても魅力的だった。大吾との絡みはこれでもかというほどにやけながら見ていたし、何よりもなにきんの中にいる永瀬廉が大好きだった。ジャニーズWESTがデビューする際涙を流しながら彼らに向けた手紙を読んだ永瀬が「次に泣くのはデビューするとき」と言っている姿がどれだけ頼もしかったか。彼に、なにきんに、ジャニーズWESTのいない関西を引っ張り続けて、六人でデビューしてほしいと思ったか。なにきんはずっと六人一緒にいるものだと思っていた。でも、現実はそう甘くはなかった。

ジャニーズWESTがデビューしたあたりから「なにわ皇子とKinKan」だったくくりが「しょうれん(永瀬と平野)と四人」になっていく。二人だけ衣装が違ったり、ソロ曲や歌割が増えたり。そういうところを見ていてグループ平等至上主義の私はいつもモヤモヤしていた。永瀬も紫耀くんも何も悪くないのに、彼らを悪く思ったりもした。正直、そんな状態の彼らを見るのがとても辛かった。四人は今どんな気持ちでいるのだろうと考えるだけで苦しくなって、まいジャニ(まいど!ジャーニィ~の略称)を見ない日々が続いた。それでもなにわ皇子の永瀬廉、KinKanの平野紫耀でいてくれていたことはとても嬉しいことで、二人が関西にいてくれると安心して、だんだん気持ちも整理できて「二人が関西ジャニーズJr.でいてくれればそれでいい」と思うようになった。見られなかったまいジャニも見られるようになった。どんな形であれなにきんがなにきんとして存在してくれるだけでいいと思い始めたその矢先、なにきんの中でもしっかり者で仕切りが上手だった金内柊真が事務所を退所してしまう。信じられなかった。どうして。なんで。なんで柊真が。涙があふれて、どうしようもなくて、残ったのは行き場のない不甲斐なさ。柊真が抜けてからまいジャニの司会は康二ではなく永瀬になり、「なにわ皇子」「KinKan」と呼ばれなくなり…ついに紫耀くんと永瀬は東京でジャニーズJr.の髙橋海人くんと一緒にユニット「Mr.KING」を組むことになる。それは私にとって絶望でしかなく、一気に彼らを見るのが怖くなってしまった。その時思い浮かべたのは2013‐2014ジャニーズカウントダウンジャニーズWEST4(当時)のデビューが発表された時の悲しくてやるせない気持ちだった。どんなに彼らの間に信頼関係があろうとも、どうしようもならないことがある。逆らえない運命ってあるのかもしれない。そう思えば思うほど自分が耐え切れなくなる。関ジャニ∞のことも考えた。もしかしたら、というかきっと、関西で「NEWSの錦戸亮」を待っていたファンの皆さんの気持ちはこんなものだったのかと。誤解を招いてしまうかもしれないが、つらいと思った。苦しかった。だって永瀬も紫耀くんも関西でやってきたじゃん。東京生まれでも愛知育ちでも関西の一員じゃん。なんで東京で普通に笑ってるの。若すぎて考えもあまりしっかりしていなかった私はやるせなさや悔しさをしょうれんにぶつけることで収めようとした。今考えればそれはあまりにも幼稚で浅はかなやり方だったけれど、当時の私はそうするしかなかった。それまで毎週欠かさずに見ていたザ・少年俱楽部を見るのをやめた。まいジャニも見なくなった。KINGとしているしょうれんを、関西で頑張る大吾や康二や流星くんを見るのが辛くてアイドル誌を買うのをやめた。しばらくすると彼らに関する情報はあまり入ってこなくなって私はそれまでも好きだった嵐に関することにより熱を注ぐことになる。こうして私の関西担としての人生は私自身の幼さが原因で二年弱で幕を閉じることとなった。

関西担として、永瀬担としてやっていくことをやめてからいろんなことがあった。私の見ない間に流星くんの身長はみるみる伸び、康二は相変わらず私の大好きな康二のままだったけれど、柊真と紫耀くんと永瀬がいなくなったまいジャニは他の関西ジャニーズJr.も出演する番組になっていて驚いた。大吾と康二と流星くんはそれまでジャニーズWESTがいた場所に立つようになっていた。一方、Mr.KINGも東京で活躍の場を広げつつあった。まだ私の傷は完全には癒えていなかったので、彼らの活動をまともに見たことは一度もなかった。少しずつ、少しずつ、状況は変わってなにきんは事実上の解散、しょうれんの二人は東京での活動に専念。やっぱり追いつけなかった。大吾がとあるインタビューで「東京で活動している廉や紫耀も」と言っているのを見て悲しくなってしまう自分がいた。その反面、たまに出る大吾と永瀬の遭遇情報や彼ら自身から語られるエピソードに安心する自分もいて、しょうれんの関西弁に「よかった、やっぱり二人は関西だもんね」と思うことも少なくなかった。だけど、ある日「もし今しょうれんが関西に帰ってきたらどうしよう」と考えた時に、私はなぜか「怖い」と思った。今、大吾たちが作り始めた「永瀬廉と平野紫耀のいない関西ジャニーズJr.」が崩れたらどうしよう。自分でもそう思ったことに驚いた。だって私はついその前まで「早く帰ってきてよ」と思っていた人間なのだから。その時に気づいてしまった。なにきんはもうここにはなくて、大吾も永瀬もみんな前を向いているのだと。後ろばっかり向いて過去に取りつかれていたのは自分だけなのかもしれない、と。なんだか、足枷が取れたような気分だった。傷はまだ癒えていなかったけれど、前を向けそうな気がした。そこから少しずつまた少クラも見られるようになった。今の紫耀くんと永瀬をちゃんと目に焼き付けておきたかった。二人は、私が大好きだったあの頃とは変わっていて、当時とは違う輝きを放っていた。まいジャニを久しぶりに見てみた。まだたくさんのJr.が出ているまいジャニは見慣れなかったけれど、大吾も康二も流星くんも自分の居場所を新たに見つけたように見えた。二人も、三人も、ちゃんとアイドルだった。

そして今月の『炎の体育会TV』の放送を迎える。関西の中心に立つ大吾は中心に立つ自覚をきちんと持っているように見えた。この人に関西を引っ張っていってほしいと心から思える時間だった。彼の瞳は私が関西に片足を突っ込んでいたあの頃のそれとはまったく違って、変わった気がした。私も変わらなければと改めて思わせる瞳だったのだ。そして紫耀くんと永瀬に対する考え方も変わった。きっと彼らは関西を捨てたわけじゃない。たまたま立つべき舞台が大吾たちとは違っただけで、ちゃんと彼らはここで、東京で、アイドルとして生きていく覚悟を決めたんじゃないかって。だから私は「帰ってきてほしい」と思うのをやめた。待つのはもうやめにしよう。彼らのこれからを精一杯応援してあげよう。彼らを責めるのは間違ってる。考え方を変えたことで心が楽になった。二人と海人くんの未来に希望しかないと信じたい。信じていられる自分でいたい。これが今の率直な気持ちである。このままもしKINGがデビューすることになったとしても受け入れられそう気がしている。だけど、なにきんがなにきんであったことは忘れないでほしいし忘れないでいたい。それだけは、絶対に、なくしたくない気持ちだ。大吾や康二や流星くん、紫耀くんや永瀬、そして柊真に対してもそう思っている。これからも永瀬の口から「大吾」という言葉がたくさん聞けることを楽しみにしている。

正直、傷が完全に癒えたかと言われれば、そうだとは言い切れない。「なにきん」をあきらめたのかと言われても、NOと言えない自分がいることは確か。でももう瘡蓋だ。すぐに治る。ちょっとした気にならなくなるだろう。彼らのことについて正解はないと思ってる。「なにきんでデビューしてほしい」と思うのも、「ずっとMr.KINGでいてほしい」と思うのもきっと間違いなんかじゃないと思っている。だけど忘れちゃいけないのは、なにきんはちゃんとみんなの中にあるということ。想うことが、存在することだということ。何があったとしても受け入れることが愛なのではないだろうか。彼らは正真正銘アイドルである。アイドルとして生きる彼らを、私は必死に追いかけていきたい。